2012/08/22

Roland TB303をLogic Proのソフトシンセでエミュレートする

Roland TB303

機材の概要

1982年に発売開始された簡易シーケンス機能付きのシンセ。今現在では名機として幅広くDTMに取り入れられていて、特にアシッド・ハウスに大きな影響を与えたことで認知度が高いが、発売当初はそれほど販売数が伸びずすぐに販売停止になった。

その影響もあって入手するのに労力がいるし値段も高い。ヤフオクで調べて見ると、この記事を書いている現在¥148,000。

アシッド・ハウスのトラックメーカーがこの機材に目を付けた理由はその独特な使い方にある。非常に早い16分のシーケンスでところどころにポルタメントさせて、ベースより高い音程にセットし、レゾナンスを極端に上げる。このユニークな粘りのあるサウンドがトラックメーカー達にうけて、この機種のダンスミュージックにおける存在は大きなものになった。

セッティング

今回はこのRoland TB303をLogic Proのソフトセンセ「ES1」でエミュレートする方法を模索した。


ここではoscillatorの波形が重要なのでおさらい。

  1. ES1を立ちあげて、oscillatorを「ノコギリ波」にセットする。 (sawtoothは上の画像でセットされている波形)sub-oscillatorは使わないので、mixはwaveにしてください。(これも上の画像の通りです)元々、TB303には1つのoscillatorしか搭載されていないし、そのoscillatorはノコギリ波と矩形波の2つなので、矩形波にセットしてもよい。
  2.  oscillator rangeを「16」にセット。
  3. ES1の下に並んでいるVoicesを「Legato」にセットし、Glideのフェーダーを約1/3程上げる。
  4. ADSRの「A(アタック)」をものすごく早めにセットする。0にしてはいけないが、限りなく0に近いあたりがちょうどいいかも。
  5.  Amplifier(アンプ)を「Gate R」にセット。同時にLevel Via Velの上の方をトップに、下の方を2/3上げる。
  6. Filterを「12dB」にセットする。(TB303には18dBのFilterが搭載されているがこのセッティングの方がより音が近い。) ADSR via velは0と2時の方向にセットする。Driveは「0」にセットし、Keyはちょうど真ん中にセット。
  7. Analogを「100%」にセット。
  8. Int via WhlとInt via Velの両方のフェーダーをゼロにセットする。(TB303にはもともとADSR以外のモジュレーション機能は搭載されていないのでこれでOK。)

セットするとこんな感じ
ここまでで、TB303の音色をES1で再現することができる。あとやることはTB303に搭載されているシーケンサーでプログラミングされたようなシーケンスを再現すれば完全なエミュレーションとなる。

プログラミング

  1. 1小節分のリージョンをアレンジウィンドウに作成する。ピアノロールエディタでリージョンを開き、ペンシルツールでノートを書いていく。ベロシティとノートの長さは手を加える必要はない。デフォルトでベロシティは80だし長さは16分音符なので、理想的である。但し、間違っても和音を打ち込んではだめ。あくまで単音のみということをお忘れなく。
打ち込むノートはすべて同じ音程でも構わないが、TB303の特徴を再現するのであれば
  1. 各ノートの音程をばらす。
  2. ところどころ音を繋げる。
  3. アクセントを付ける。
ようにプログラミングするのが理想。

  1. 音を繋げるにはノートの右端をドラッグして伸ばし、次のノートと重ねてしまえば良い。
  2. アクセントを付けるのはすごく簡単。ベロシティが80なのを100にするのみ。これをすることで音が大きくなると同時に明るくなる。
こんな感じ

このプログラミングでTB303のシーケンサーを再現できた。あとは実際にプレイする際、以下のパラメータをいじるとTB303感がますのでオススメ。
  1. ADSRのDecay・Releaseのセッティング
  2. FilterのCutoffとResonanceの調整
  3.  Int vai Vel側のRouterを「Filter FM」にセットして、「Mod Envelope」の上のフェーダーを動かし、Filter Modulationを調整
  4.  ADSRのAttackを調整
以上でTB303のエミュレートは完成。あとはトラックを作るのみ!!


2012/08/17

DTM用アプリケーションを選ぶ

DTMを初めるにあたって迷うのは、どのアプリケーションが自分や自分の音楽スタイルに適しているか、という点だと思います。そこで代表的なアプリの特徴を紹介したいと思います。

1.Logic Pro

  • メーカー: Apple Inc.
  • OS: Mac
  • 32bit/64bit 対応
  • 付属プラグイン数:120個くらい
  • プラグイン形式: Audio Units 
ほくがメインで使っているアプリケーションです。Logicの最大の魅力といえば、その豊富なソフトウェア音源類と膨大なサンプルループが標準装備されている点だと思います。とくにサンプルループはその量に圧倒されます。

アップル純正品ですので、(当たり前ですが…)Macとの相性は抜群です。ハード(コンピュータ)との相性を気にする必要がないのは、制作に集中できるという意味で大きなメリットだと思います。Windowsは色々なメーカー製品がありますので、DTMに適しているか確認する必要がどうしても出てきますし、インストール後うまく動かない場合は設定などを変更するなどして試行錯誤しなければなりません。そのストレスを気にすることなく音楽に集中できるのは大きなメリットです。

ちなみに僕はMacBook Pro13インチにインストールしていますが、サクサク動くし画面の小ささもそれほど気になりません。特にアイデア出しに向いているアプリケーションでしょう。

僕はギタリストではないので実感は無いですが、ギター系のエフェクトも豊富です

2.Cubase

  • メーカー: Steinberg
  • OS: Mac / Windows
  • 32bit/64bit 対応
  • 付属プラグイン: 50個くらい
  • プラグイン形式: VST

2012/08/07

DTMがなぜ今面白い?

現在のコンピュータの高速化に伴い、音楽を作ることがとても身近になりました。自宅のPCやMACでかなりクオリティの高い作品を作ることも可能です。後ほどご紹介致しますが、いろいろなメーカーから興味深い機能を備えたDTM用ソフトウェアが手頃な値段で発売されています。

また、最近ではテクノやハウスなどのダンスミュージックや、初音ミクに代表されるようなボーカロイドをメインにおいたコンピュータのみで完結する音楽がかなり市民権を得ています。ひと昔前の大手レコード会社からリリースされるメジャーアーティスト一辺倒だった時代からはだいぶ様変わりしました。

また、自分が作った音楽を発表する場もインターネットを使えは日本どころか海外にもアプローチすることが可能です。3年ほど前ですが、ぼくがあるサイトに自分のトラックを発表していた所、それを気に入ってくれたメキシコ在住のアニメーターの方よりメールを頂き、そのトラックにアニメーションをつけて発表したい、と申し出があったこともありました。これがその時のサンプルです。


サイトで知り合っただけで、合ったこともないメキシコ人とプロジェクトをすることができるのです。

今や録音、ミックスダウン、マスタリングから発表(販売)までコンピュータがすべて個人で出来てしまいます。

音楽を作る側にとってこれほど面白い時代はないでしょう?

「DTMに興味はあるけど、音楽理論を知らないから作曲なんて無理!」

なんて感じている方もいるかも知れません。この点に関してもテクノやハウスなどのダンスミュージックでは全くネックになりません。ピアノやギターの弾語りなどメロディとコード進行で聴かせる部類の音楽を作るうえでは、音楽理論はあなたの助けになるでしょう。

しかし、 テクノやハウスなどのダンスミュージックではネックにならないどころか逆に理論が邪魔になることも少なくありません。DTMに興味が少しでもありましたら初めてみることをおすすめします。

「DTMにコンピュータが必要なのは分かった。じゃあ、他に何が必要なの?」

では、次回は自宅で音楽を作るのに最低限必要なものをご紹介します。